外構工事と減価償却の関係性について

外構工事は減価償却が適用されるケースがあるのをご存知でしょうか。

外構工事の費用を経費として計上となれば事業主にとっては税負担を軽減できる機会となります。

しかし、外構工事の全てが減価償却の対象ではありません。

そこで、外構工事で減価償却の対象となるポイントや外構設備の耐用年数について解説します。

外構工事で減価償却となるケース

外構工事が減価償却の対象となるケースは以下の2点です。

  • 事業用の建物
  • 土地の外構設備

会社や工場など、事業で使用している施設の外構工事は減価償却が適用されます。

一方、個人宅の場合減価償却の対象外です。

減価償却とは経費を耐用年数毎に計上するものです。

経費とは「事業に投じた費用」を意味します。

そのため、個人宅の場合、かかった費用にかかわらず、減価償却が認められるケースはほぼありません。

ただし、例外として賃貸物件だったり事業目的の物件の場合、適用されるケースもあります。

例えば個人宅ではあっても一部を賃貸として貸し出している場合や、個人宅が事務所を兼ねている場合などです。

繰り返しになりますが、減価償却とは「事業で必要な費用を歳月と共に消化する」ものなので、事業で使用する設備の外構工事は減価償却の対象となりますが、居住用の個人宅は対象外です。

減価償却の対象とその耐用年数

事業で使用するための設備の外構工事は減価償却の対象となりますが、具体的にどの設備が減価償却の対象となるのか、さらには耐用年数に関しては状況によって異なります。そのため、一概に「減価償却の対象になる」と断言できません。

その理由として、お伝えしたように減価償却とは「事業で必要な設備の経費計上」です。そして事業の種類は人それぞれ異なるため、一概に「これは減価償却として認められる」と断言することが難しいです。

そこで、あくまでも一般的に減価償却として認められる設備やその耐用年数を紹介していきます。

  • コンクリート設備(駐車場・敷地内の道路):15年
  • 鉄製フェンス:10年
  • 木製フェンス:5年
  • プラスチック素材のフェンス:5~10年
  • 金属製の門:15年
  • 木製の門:5年
  • 芝生・植栽:5年
  • 外灯・照明設備:10年
  • 石材・レンガ造りの塀や床:15年
  • 木製ウッドデッキ:10年
  • 豪勢材のウッドデッキ:15年

上記はあくまでも目安です。税務上の目安であり、使用・メンテナンスの状況によって前後することもあります。また、記載していないものが減価償却として認められないとも限りません。

お伝えしたように、減価償却とは経費として計上するものです。事業にかかったと税務署に認めらた場合、減価償却の対象となります。

外構設備における減価償却のポイント

外構設備において、減価償却を考えるポイントとして以下の7点が重要です。

  • 外構設備の資産区分を明確にする
  • 耐用年数を適切に設定する
  • 取得時期と償却方法を確認する
  • 個人と法人の違いを把握する
  • 修繕費と資本的支出を区別する
  • 特例や減税措置を確認する
  • 税務署・税理士に相談する

それぞれについて、詳しく解説していきましょう。

外構設備の資産区分を明確にする

一口に「外構設備」と言っても、お伝えしたようにそれぞれの設備で耐用年数が異なるため、外構設備の資産区分を明確に把握することが大切です。

例えばコンクリートで塗装した駐車場に木製のフェンスを設置した場合、異なる耐用年数の設備が混在することになります。

当然、「それぞれ異なる計算式で減価償却することになります。

このように、正確な資産区分を把握しての減価償却が重要です。

決して同じ場所の外構工事ではあっても、それぞれ異なる区分がいくつもあるケースも珍しくありません。

耐用年数を適切に設定する

耐用年数はそれぞれ異なるものです。

一つの外構工事ではあっても、すべて同じではありません。「同じ外構工事だから」と一律で扱うのではなく、それぞれに合わせた耐用年数を設定しましょう。

リフォームや修繕を受けた際にも注意が必要です。リフォーム・修繕を受けたタイミングで耐用年数の再設定が必要なケースもあります。

例えば外構工事でコンクリートの舗装に木製のフェンスを設置した駐車場を設営したとします。その後、木製フェンスだけを補修すると、木製フェンスのみ耐用年数の再設定が必要になります。道路には手を付けていないため、耐用年数は変わりません。

取得時期と償却方法を確認する

減価償却は設備を取得した年度からカウントするものです。

そのため、外構工事が終了した時期や設置した設備が使用可能になった時期は正確に把握しておきましょう。同じ外構工事ではあっても、完成のタイミング、事業の種類等で耐用年数の計算が微妙に異なります。

また、毎年同じ金額を計上する定額法と毎年の減価償却費が一定の割合で減少する定率法が一般的に定額法が採用されるケースが多いですが、自分の場合、どちらの方が良いのかを考えることも大切です。

個人と法人の違いを把握する

個人事業主なのか法人組織かで税務上の違いが生じます。

具体的には、法人組織の場合、細かいルールが求められます。そのため、立場の違いによる減価償却の計算・考え方を把握することも大切です。

個人事業主の場合、どこまで経費計上できるのかの判断が難しいです。また、個人事業主でも白色申告・青色申告で税務が少々異なります。

さらに、日常生活の中でも、仕事とプライベートの線引きが難しいため、経費の判断が難しいです。そのため、自分自身で判断するのではなく相談することをおすすめします。

修繕費と資本的支出を区別する

減価償却の対象となる費用は「資本的支出」で、資産の価値を高めるためのものや、使用可能期間を延長させるための工事が該当します。

一方、「修繕費」は資産の通常のメンテナンスや修理のための費用で、基本的に全額をその年度の経費として計上できます。

例えばフェンスの一部を修理した場合、その費用は修繕費として処理できますが、フェンス全体を新設する工事は資本的支出となります。

そのため、減価償却の対象となります。

このような区別を明確に把握するくことも重要です。

特例や減税措置を確認する

税制改正によって、一定の条件を満たす外構工事や設備については、減価償却に関する特例が適用されるケースがあります。

例えば特定の省エネルギー設備や環境対策を施した工事の場合、税制優遇措置が用意されている自治体もあります。
特例・減税措置は自治体によって異なります。そのため、最新の税制や減税措置を把握しておきましょう。

自治体の公式サイト、あるいは税理士や専門家に相談することで把握できます。

税務署・税理士に相談する

減価償却に関する税務ルールは複雑です。

知識のない人間にとっては、分からないこと・勘違いすることが多いです。

特に初めて外構工事を行う際や、新しい設備を導入した場合、慣れないことだらけでスムーズに話を進めることが難しいです。

そこで、税務署や税理士など税の専門かに相談することをおすすめします。

専門家に確認しながら進めることで、トラブルを防ぎ適切な減価償却を行うことができます。

税務署は無料で親身に相談に乗ってくれる一方で、あくまでも大まかな説明となります。

一方、税理士は有料ではありますが自らの状況に合わせた適切なアドバイスを受けることができます。外構工事の耐用年数だけではなく、税務全般のアドバイスを受けることができます。

まとめ

外構工事の減価償却は、設備ごとの耐用年数や取得時期だけではなく、修繕費との区別を正確に行い、かつ税務上のルールを適切に適用することが求められます。

そのため、個人での判断は難しいです。

担当の税理士や税務署など、税務に関する専門知識を持つ人間に相談することで、より確実な減価償却計算と税務のメリットを活用することができます。
むしろ自己判断はトラブルの原因となりかねません。

専門家に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者

株式会社尚建 代表取締役 村下 尚志

京都を中心に土木工事から土地の有効活用まで幅広く、お客様の立場で考え、最適な工事のご提案をしている。 安全性と美観を兼ね備えた工事を行い、スピーディーにご要望に応じることをモットーとしています。

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