道路を走行していると、工事をしている光景をよく見かけます。
大がかりなものから小規模のものまで、工事は安全で快適な走行を目的としておこなわれます。
ただひと口に道路工事といっても、じつは目的や用途により工事には種類があり、舗装にも違いがあるのです。
よく見かけるわりに、あまりわかっていない道路工事に今回は焦点をあて、その工事がいかに人々の日常生活に役立っているのかをみていきましょう。
道路工事とは
道路は人々の暮らしや社会基盤を支えるうえで欠かせないもので、この道路でおこなわれている工事を一般的には道路工事と呼んでいますが、じつは路上工事が正式な名称です。
路上工事は国や都道府県が管理者となりおこなうもので、道路には高速自動車道国道や一般国道、県道や市道などがあり、それぞれに管理者が違います。
路上工事には大きくわけて占用工事や承認工事、そして道路工事があり、今回解説していくのはこのなかの道路工事です。
道路工事の種類
道路工事には新設工事と改良工事、そして維持・修繕工事の3つの種類があり、人々にとって便利で安全な通行を目的にそれぞれの工事がおこなわれています。
では道路工事の特徴をそれぞれの種類ごとにみていきましょう。
新設工事
新設工事とはもともと道路ではなかった地面を整備した後、アスファルト混合物などを敷いて舗装し、新たに道路を作る工事です。
この工事は道路が少なく日常生活に支障がある、渋滞が多く事故の危険性も高いなど、通行に不便がある地域の交通ニーズに応じるためにおこなわれます。
道路を新設するにはまず土地を買収しなければならず、家屋や田畑などがあり所有者が買収に応じない場合は、全区間の買収が終わるまでに10年ほどかかるケースもあります。
改良工事
改良工事は、既存の道路が時代の流れとともに使いにくくなったり、最初の計画と実際の使い勝手に違いがあったりした場合に、改良して使いやすくする工事です。
近年では、障害を持つ方が社会生活をおくるうえで不便な、段差などのバリアを取り除くバリアフリー化工事が増えています。
また視覚障がい者用の点字ブロックの設置や張り替えや、車いすでの通行の妨げとなる電柱の撤去もこの工事に当てはまります。
他にも渋滞緩和に向けての拡張工事があり、車線を増やしたり道路の幅を広げたり、あるいは交差点の改良も改良工事の1つです。
維持・修繕工事
維持・修繕工事とは、道路が持っている機能に低下や不具合がある場合に、その機能の回復や維持のためにおこなう工事です。
特に交通量の多い道路は劣化や損傷が多く、交通事故の発生原因ともなりかねず、車で走行する際の安全性と快適性の向上を目指しておこなわれます。
具体的な例をあげると道路の補修の他に、橋梁やトンネル、横断歩道などの維持修繕があります。
台風や事故などで破損、経年による劣化で本来の機能を果たしていない道路標識やガードレールの付け替えや修繕もこの工事です。
道路工事の塗装の種類
道路は通行しやすい状態にするのが目的としてあり、自動車の荷重などに対しての耐力や景観の維持も求められます。
道路を走りやすい状態にするためには舗装が必要で、舗装工事にはアスファルト舗装・コンクリート舗装・特殊舗装の3つがあります。
アスファルト舗装
アスファルト舗装は、アスファルト混合物を敷いて舗装する工事で、ほとんどの道路で使われている工法です。
アスファルト混合物は、砕石や石粉などのフィラーや砕石や砂などの骨材を石油アスファルトで結合し固めたものです。
アスファルト道路は表層・基層・路盤の3つの層から成っていて、アスファルト混合物は表層と基層に使用されています。
アスファルト塗装のメリットは施工費用が安価である点、そして施工後の養生期間が短い点で、工事後半日から1日で車の走行が可能となります。
コンクリート舗装
コンクリート舗装はセメントに砂利などを混ぜ合わせて作るコンクリートをおもな材料としておこなう舗装工事です。
車道と歩道どちらにも使われ、路盤にコンクリート板を敷いて作られ、アスファルトに比べ耐久性が高い特徴があります。
また路面温度が上がりにくく、路面反射率が低いのもコンクリートの特徴の1つで、夏場のヒートアイランド現象が緩和できます。
また路面が固くメンテナンスの回数が少なくてすむため、急坂に使われるケースが多く、耐用年数の長さも坂道で採用される理由の1つでしょう。
特殊舗装
特殊舗装はその道路の目的に合わせておこなわれる舗装で、特別な材料・工法を用います。
特殊舗装としてよく知られる着色舗装は、アスファルトやコンクリートに着色剤を添加して色付けした舗装で、一般道や歩道の他に公園などの施設にも利用されています。
また雨の日のスリップなどの危険を回避するための特殊舗装に排水性舗装があり、道路の表面を粗く仕上げその空隙から水を排水する仕組みです。
そして凍結抑制舗装は、冬場の積雪などによる雪氷の固着を抑える機能を持った舗装で、路面凍結の抑制が期待できます。
道路工事の流れ
道路工事の流れとしてまずは設計図をつくるところから始まり、その設計図をもとに現場で調査をおこないます。
次に重機を使った路床工事となり、この路床は安定した道路づくりの基礎となるもので、厚さ1メートルの路床をしっかりと締めて固める作業です。
その路床のうえに砕石などを敷くのが路盤工事で、道路にかかる荷重を分散させて路床の負荷を小さくする役割を持っています。
そしてアスファルト混合物を流しいれて基盤を固め、その後密度の高い材料を使い表面をきれいに仕上げる表層工事をおこない道路工事は完了です。
まとめ
道路工事は占用工事・承認工事などの路上工事と呼ばれる工事のなかの1つです。
その道路工事には新たに道を作る新設工事、バリアフリー化など通行の利便性を高める改良工事、そしてメンテナンスなどの維持・修繕工事があります。
舗装の種類には一般的によくみられるアスファルト舗装、坂道によく使われるコンクリート舗装、着色や排水性など機能性を重視する特殊舗装があります。
道路工事は設計図に則った現場調査から始まり、路床工事や路盤工事などを経て、最終的にきれいに仕上げる表層工事となる流れです。