門扉と玄関をつなぐ玄関アプローチは、様々な種類で作ることができます。
ここでは、玄関アプローチで使える素材の種類をご紹介します。また、おしゃれで使いやすい玄関アプローチの作り方や、玄関アプローチを作るメリット・デメリットも見ていきましょう。
玄関アプローチとは?
玄関アプローチとは、敷地の外から玄関までをつなぐ通路のことを言います。
家の顔である玄関へつながる道であり、主に2つの役割があります。
1つ目は、家族や来客・配達員などを玄関先まで導く役割。
玄関アプローチを整備すれば、車椅子やベビーカー、台車なども玄関先までスムーズに通ることが可能です。
玄関アプローチの周りに道がある場合、大事に育てている植栽や花が踏まれてしまうのを防ぎ、綺麗な状態を保てます。
2つ目は、家の外観デザインを高める効果。
天然石やレンガ、タイルなど様々な素材を取り入れれば、庭周りをよりおしゃれに仕上げることができます。
アプローチがあると雑草も生えにくくなるため、美しい空間の維持も可能です。
玄関アプローチは単なる通路ではありません。
玄関アプローチのデザインによって家の印象も大きく変わります。
あなたの家に訪れた方が最初に目にするポイントでもあるので、素材やデザインにこだわったおしゃれな玄関アプローチを作りましょう。
玄関アプローチで使われる素材の種類
玄関アプローチでは様々な素材が使われてます。
ここでは、玄関アプローチでよく使われる素材の種類を解説していきます。
天然石(自然石)
天然石(自然石)は、玄関アプローチで使われることが多い人気の素材です。選ぶ石材や石の貼り方によって印象も大きく異なります。
よく使われる石材には以下のような種類があります。
- 御影石
- クォーツストーン
- アンティーク石材 など
天然石は、タイルのように四角く加工して貼る方形や、採取したままの形を組み合わせて貼る乱貼りなど様々な貼り方でアプローチを彩ります。
ただし、他の素材と比較すると費用が高めな点がデメリットです。
インターロッキングブロック
インターロッキングは、レンガに似た見た目の長方形のブロックのこと。
レンガとは違う施工方法なのでコストを抑えやすく、浸透性が高くて滑りづらいです。
公園や遊歩道などの公共施設で多く使われていましたが、最近では一般家庭でもよく扱われています。
インターロッキングブロックの貼り方は主に3つの種類があります。
目地を半分ずらして交互に並ぶように配置する「馬踏み目地」、方眼紙のように縦と横の目地を一直線にして貼る「通し目地」、縦向き素材と横向き素材の交互に組み合わせて貼る「網代張り」の3種類です。
他にも、「やはず張り」「四半目地」「バスケット」「三つ目市松」など様々な目地があるので、自分の家にぴったりの貼り方を選びましょう。
コンクリート平板
コンクリート平板は、天然石(自然石)に近い質感を再現したコンクリート製の平板のこと。
天然石よりも安価で使える素材が多く、工業製品なので色味にばらつきがありません。
種類も豊富なので、希望のデザインのコンクリート平板を見つけやすいです。
貼り方はインターロッキングブロックと同じように、通し目地や馬踏み目地など様々な貼り方ができます。
レンガ
レンガは粘土に砂・石灰を混ぜて成形して焼き上げたもの。
温かみのある赤みがかった茶色系の素材が多いです。
同じ色でも焼きムラでそれぞれ表情が異なって見えます。
年月が経過するとともに風合いが増しますが、風化しやすいデメリットがあります。
レンガも、インターロッキングや平板と同じく、馬踏み目地など様々な貼り方ができるので、施工経験の豊富な業者に相談しながら自分の家にぴったりのおしゃれなアプローチを作りましょう。
枕木
長方形の木材を枕木といいます。線路に使われている枕木によく似た形をしており、デザイン性が高いです。
レンガや石材・砂利・グリーンなどと組み合わせることで、よりおしゃれなアプローチを製作できます。
価格は安いですが、雨風に弱くシロアリが付きやすいため、大体10年前後で交換することとなります。
タイル
タイルは土を原料としており、素材によっては濡れると滑りやすいものもあります。
雨の日に滑りにくいタイルを選ぶようにしましょう。
決まった寸法で作られているため応用しやすく、階段・スロープなどにも使いやすいです。
タイルの貼り方は、馬踏み目地など、インターロッキングブロックと同じように様々な張り方ができます。
デザインも豊富なので、家の雰囲気に合わせて様々な表情を作ることが可能です。
砂利
砂利はホームセンターで手軽に購入できる素材です。
土を砂利で覆えば雑草が生えにくいので、草むしりの負担を減らせます。
より雑草を生えにくくするなら、砂利の下に防草シートを敷くと良いでしょう。
防犯対策もできる音が鳴るタイプの石もあるので、用途に合わせて選ぶことをおすすめします。
洗い出し仕上げ・樹脂舗装
洗い出しや樹脂舗装は、安価で玄関アプローチを作ることができる素材です。
洗い出し仕上げは、コンクリートに砂利を混ぜ込んで、表面に砂利を出す仕上げのこと。
滑りにくく、個性的に仕上げることができます。
樹脂舗装は、砂利を樹脂で固めて作るアプローチのこと。
耐久性が高く、様々なデザインに対応しています。
使う砂利を変えれば色味・質感も変わってきます。
長方形や正方形、曲線など様々な形状のアプローチを作りやすいのも特徴の1つです。
コンクリート打ち
コンクリート打ちは、コンクリートを流してアプローチを作る方法のこと。
他の素材よりも手間がかからないため、安く済ませたい方におすすめです。
ただ、見た目が単調になりやすいので、砂利やレンガなどを組み合わせて個性を引き立たせるなどの工夫をしましょう。
コンクリートの仕上げの種類は3つあります。
1つ目は、金ゴテ仕上げ。
表面に凹凸のない滑らかな仕上がりが特徴です。
お手入れはしやすいですが滑りやすいため玄関アプローチに使うと転倒の危険性が高まるためあまりおすすめしません。
2つ目は、刷毛引き仕上げ。
刷毛を使って表面に縦の筋模様を付けた仕上げ方法です。
凹凸ができるので、滑りにくいですがホコリ・泥などの汚れが溝に入りやすいというデメリットがあります。
3つ目は、先にも説明した洗い出し仕上げ。
砂利や砕石、玉石などを混ぜ込んで仕上げる方法です。
金ゴテ・刷毛仕上げよりも価格が高くなりやすい点がデメリットになります。
おしゃれで使いやすい玄関アプローチの作り方
おしゃれで使いやすい玄関アプローチを作るためのポイントをご紹介します。
- 費用相場を知り予算を設定する
- 建物・外構とのバランスを考える
- ラインを考える
- 適切な幅にする
- 動線を重視する
- 奥行き・立体感を演出する
- 安全性の高い素材を使う
- 照明計画を立てる
- 防犯対策・プライバシー確保を意識する
- お手入れのしやすさを考える
それぞれのポイントを見ていきましょう。
費用相場を知り予算を設定する
まずは、玄関アプローチにかかる費用相場を知って、あらかじめ予算を設定しましょう。
玄関アプローチの費用は、10万円~30万円が一般的ですが、使用する素材やデザイン、施工の難易度によって大きく変動します。
例えば、天然石やタイルなど、高級な素材を選ぶと費用は高くなります。
また、形状が複雑・範囲が広い場合も費用負担が大きくなりがちです。
職人の技術や経験、施工の難易度によっても費用は変わってきます。
上記のように、どのようなアプローチを作るかによって費用相場内に金額が収まらない可能性があることは知っておきましょう。
ただ、大体の相場を知った上で、玄関アプローチにかけられる予算を設定しておくと、その後の打ち合わせや素材選びがスムーズになります。
建物・外構とのバランスを考える
玄関アプローチを考える際は、建物・外構とのバランスを考えましょう。
家や外構に合わないデザインにすると、全体で見た時にチグハグした印象になりかねません。
建物全体のテイストに合わせてトータルコーディネートするようにしましょう。
ラインを考える
玄関アプローチのラインには、直線型と曲線型の2種類があります。
直線型は、門扉から玄関まで一直線に伸びるデザインのこと。
スタイリッシュでモダンな印象があり、どんな住宅でも合わせやすいです。
ただ、まっすぐで単調に感じる場合は緩やかなカーブをつけるなどの工夫をしましょう。
曲線型は、門扉から玄関までに曲線を描いたデザインのこと。
S字にしたりと様々な曲線を取り入れることで、より開放的でゆったりとした空間を演出できます。
ただ、ある程度の広さが必要になってくるのでスペースが狭い場合は作るのが難しい可能性があります。
適切な幅にする
玄関アプローチの幅は、一般的に1.2m程度がおすすめです。
この広さがあれば、傘をさして歩いたり、お子様と並んで歩いたりするにも十分なゆとりがあります。
もちろん、ご家族の人数や敷地の広さ、そして全体のデザインによって最適な幅は異なります。
しかし、0.9mから1.8m範囲内に収めるように設計することで、快適かつ安全なアプローチを実現できます。
動線を重視する
実際にどのような動線になるかをイメージしながら作りましょう。
歩く人の動きや視線を考慮して自然で快適な歩行ルートを確保する必要があります。
直線のアプローチであれば、どこにつながっているのかがわかりやすいです。
曲線を取り入れると、柔らかい雰囲気を演出できます。
奥行き・立体感を演出する
玄関アプローチに奥行き・立体感を持たせると空間をより豊かで深みのある表情を演出できます。
立体的なデザインは空間に動きが出るので、高低差をつけたり植栽・小物を飾ることでより豊かで深みのある表情を作れます。
異なる素材を組み合わせれば、より奥行きを感じられる演出も可能です。
安全性の高い素材を使う
玄関アプローチの設計には、安全性を考慮することも重要です。
雨の日でも滑りにくい素材を使ったり、段差を少なくしたりすることで、子供や高齢者の方でも安心して使うことができます。
照明計画を立てる
暗い夜でも玄関アプローチを安全に歩けるように照明計画を立てましょう。
足元をしっかりと照らすことで、安心して玄関まで進めます。
また、花壇や樹木をライトアップしたり、間接照明を採用するなど工夫するとよりおしゃれな玄関アプローチの実現が可能です。
防犯対策・プライバシー確保を意識する
デザイン・安全性の他に、防犯対策やプライバシー確保も意識しましょう。
例えば、施錠可能な門扉を設置したり、泥棒が入りにくいように死角を極力作らなかったりという工夫もあります。
玄関と門の位置をずらすことで、外から玄関の中を見えにくくすることも可能。
フェンスや竹垣で目隠しを設置するのもおすすめです。
お手入れのしやすさを考える
玄関アプローチも定期的にお手入れを行なうことできれいな状態を保てます。
お手入れのしやすい素材を選ぶようにしましょう。
劣化した時に部分的に交換できる素材であれば、費用を抑えて交換が可能です。
玄関アプローチを作るメリット
玄関アプローチの作り方を紹介してきましたが、玄関アプローチを作ることにどんなメリットがあるのでしょうか。
以下の3つのメリットについてご紹介します。
- プライバシー保護・防犯対策になる
- バリアフリー化ができる
- 奥行きができる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
プライバシー保護・防犯対策になる
玄関アプローチを作ることで、プライバシー保護・防犯対策に役立ちます。
死角を作らないアプローチを作れば、外からの視線を遮りながら家の中の様子を見られにくくなります。
ただし、完全に視界を遮ると不審者が隠れやすくなってしまうため注意しましょう。
外壁やフェンスに適度な隙間を設ければ、外からの視線を遮りながら家の中から外の様子を確認しやすくなります。
他にも、目隠し効果のある植栽やフェンス、壁を設置することでプライバシーを守ることも可能です。人感センサー付きの照明や防犯カメラがあればより防犯効果が高まります。
バリアフリー化ができる
玄関アプローチの設計によって、バリアフリー化も実現できます。高齢者や障がいのある方でも安全で快適な生活を送ることが可能です。
例えば、段差をなくしてスロープをもうけたり、凹凸のある表面で滑りにくい素材であれば雨の日も安全で、転倒リスクも抑えられます。
手すりの設置には握りやすい太さのものを選びましょう。
奥行きができる
玄関アプローチがあると門から玄関までの間に奥行きができます。
植栽や花を飾れば、アプローチを歩きながら心が癒されるでしょう。
訪れる人がリラックスできる空間にすることで、気持ちよく家の中にも入れます。
玄関アプローチを作るデメリット
続いて、玄関アプローチを作るデメリットも解説します。
- 素材によっては雨の日に滑りやすい
- 費用がかかる
- 家族構成・年齢によっては段差が不便
3つのメリットについて解説していきます。
素材によっては雨の日に滑りやすい
素材によっては雨の日だと滑りやすいものもあります。例えばタイルは滑りやすくなるので要注意です。
タイルの種類によっては滑りにくいように表面加工が抑えられているものもあるので、選ぶ際は滑りにくい素材を選びましょう。
特に小さい子供や高齢者と住む場合は、滑りにくい素材を選ぶことが重要です。
また、玄関アプローチはお手入れを放置すると苔が生えやすくなり、滑りやすくなってしまうため定期的に掃除を行なってください。
費用がかかる
玄関アプローチを作るには、費用がかかります。
天然石のように高価な素材を採用すると、その分費用も高くなります。
費用相場をしっかりと把握した上で、予算を設定してから玄関アプローチを作りましょう。
費用を抑える方法でDIYがありますが、 建築経験が十分にない方が玄関アプローチを設計することはおすすめしません。
玄関アプローチのDIYは非常に難易度が高いため、素人が安易に取り掛かると失敗する可能性が高いです。
費用はかかってしまいますが、専門業者に依頼した方が良いものを作ることができます。
家全体の景観にも関わってくるので、玄関アプローチはプロに作ってもらいましょう。
家族構成・年齢によっては段差が不便
玄関アプローチは階段が使われることが多く、砂利や敷地でわずかな段差も生まれます。
高齢者や小さい子供のいるご家庭だと、この段差が不便に感じることもあるでしょう。
玄関アプローチを設計する際は、バリアフリーなアプローチを設計するか、将来リフォームする時のことを考慮した設計をすることが重要です。
例えば、バリアフリー用のスロープを用意したり、緩やかな傾斜を作るために曲がりくねった玄関アプローチを設計するなど、様々な方法があります。
まとめ
玄関アプローチは、天然石やタイル、砂利など様々な種類を使って作ることができます。
アプローチを作る際には、建物や外構とのバランス、動線や安全面も考慮して作るようにしましょう。
防犯対策・プライバシー、お手入れのしやすさなども考え、自分にぴったりの玄関アプローチを考えてみてくださいね。