擁壁の高さ制限とは?安全な家づくりをするためのポイントを解説

「擁壁」とは何かご存じでしょうか?

土地や住宅を購入する際に、擁壁に関しては必ず確認しておきたいポイントの1つです。

擁壁にまつわるトラブルは多く、購入してから後悔する可能性もあります。

ここでは、擁壁に関してや、擁壁のある土地での家づくりにおけるポイントを詳しく解説します。

擁壁の種類と特徴

擁壁とは、崖や盛土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために作られる壁です。擁壁には以下のように様々な種類が存在します。

コンクリート擁壁無筋コンクリート擁壁と鉄筋コンクリート擁壁の2種類がある。立地条件に合わせて様々な構造で設置され、水抜き穴が必要。
間知ブロック擁壁ブロックを使って設置される擁壁。住宅地などの高低差の大きい場所に設けられ、現行基準を満たしていれば高さ5mくらいまでの擁壁を設置できる。水抜き穴が必要。
大谷石積み擁壁1950〜60年代に多く作られていた、大谷石で作られた擁壁。風化・劣化が激しく現行基準を満たしていない。建て替えなどの対策が必要。
空石積み擁壁石やコンクリートブロックを積み上げた簡素な擁壁。現行基準を満たしておらず、1.5m以上の高いものは強度が弱くて危険。
二段擁壁既存の擁壁上にコンクリートブロックやコンクリートなどが設置されている擁壁。宅地造成等規制法上だと違法。

上記の中でも、「大谷石積み擁壁」「空石積み擁壁」「二段擁壁」は「不適格擁壁」です。

「不適格擁壁」とは、現在の建築基準法に適合しておらず、検査済証などの証明する書類がない擁壁のことをいいます。

ご自分が購入しようとしている物件で、このような不適格擁壁が含まれていた場合、現在の基準に合わせるための擁壁工事をしなければならない可能性もあります。

その分の費用負担をしなければならない可能性があるため、購入前に必ず確認しましょう。

擁壁の高さ制限に関する法的根拠

擁壁の高さ制限に関しては、以下のように建築基準法と宅地造成等規制法で規定が設けられており、必要に応じて届出を提出しなければなりません。

建築基準法高さ2mを越せる擁壁を作る場合、建築基準法88条に基づき、確認申請が必要。既存擁壁が届出を出されているかどうかは、市役所の担当窓口で確認する必要がある。
宅地造成等規制法切土や盛土によって土地の形を変更するなど、一定規模以上の開発行為には許可が必要。許可が必要かどうかは、開発指導担当課において、開発登録簿を書くにするること。
都市計画法以下の造成工事を行う場合、許可が必要。 切土で2mを超える盛土で1mを超える切土・盛土を同時に行い、2mを超える 届出が必要かどうかは、開発指導担当課に相談すること。

上記のような条件に当てはまる場合、それぞれの届出が必要となります。

開発指導担当課に現状を確認してもらったうえで、必要な届出をしましょう。

高さ制限によって擁壁工事が必要になる土地

所有している土地の高低差が2m以上ある場合、その土地がある自治体が定めている「がけ条例」で擁壁を設置することが義務付けられています。

ただし、どの範囲の高低差について擁壁が必要になるのかは、それぞれの自治体によって多少異なるため、高低差のある土地を購入する場合は事前に自治体に確認を取るようにしましょう。

なお、届出が必要な場合、申請して許可が降りるまで1ヶ月前後かかります。

また、がけ条例の許可がおりてから確認申請の審査が行われるので、着工日が決まっている場合は早めの行動が重要です。

また、高低差のある土地は、がけ崩れや土砂災害などが心配なため、「宅地造成工事規制区域」に指定されている区域内だと、自治体に申請して許可を得なければ工事ができないケースもあります。

事前にどのような届出が必要かを確かめることが大切です。

擁壁のある土地での家づくりにおけるポイント

擁壁のある土地を購入する場合、高さ制限によって様々な許可や届出が必要となります。

また、がけ崩れや土砂災害などが発生しないように擁壁工事をしなければなりません。

擁壁工事費用はは数百万円にも及ぶこともあり、家づくりにおいて大きな負担になります。

土地を購入する前に、擁壁における届出や工事が必要なのかどうかを確かめることが重要です。

最後に、擁壁のある土地での家づくりにおけるポイントをご紹介します。

擁壁付きの土地を購入する前に擁壁診断を行う

擁壁付きの土地を購入する際は、必ず事前に安全確認を行いましょう。

擁壁の強度が現行基準を満たしているかどうかは見ただけではわからないため、擁壁判断士などの専門業者に調査してもらうと安心です。

特に、以下のような点が自分の目でも確認できる場合、危険性があるかどうかを不動産会社や専門家に確かめてもらうようにしましょう。

  • 擁壁にひび割れや変形が見られる
  • 擁壁の隙間が白い
  • 擁壁に水抜き穴がない、水抜き穴に土や草が詰まっている
  • 擁壁の表面から水が出ている、苔が生えている

上記が当てはまる場合、強度が不十分な可能性があります。擁壁工事や補修が必要です。

擁壁の高さによって確認申請の要否が決まる

高さが2mを超える擁壁を新たに築造する場合、確認申請をしなければなりません。

これは、建築基準法第138条にさだめられています。

なお、高さ2m以下の擁壁については準用工作物ではないため、建築基準法の規制を受けることはありません。

ただし、建築基準法第138条の「高さ」が、「地盤の高低差」と「土圧を受ける高さ」のどちらなのかは自治体によって扱いが異なります。

擁壁を築造予定の土地を購入する場合、事前に自治体への確認が必要です。

確認申請が不要なケースもある

宅地造成等規制法や都市計画法、津波防災地域づくり法での許可により築造された擁壁の場合、確認申請は必要ありません。

これらの法令による許可は、建築基準法以上に厳しい審査と検査を受けるため、建築基準法によるチェックは不要なのです。

擁壁工事を行う際は助成金が活用できる

擁壁工事は、1㎡あたり5〜10万円程度の費用がかかります。

特に、勾配がきつくて工事の難易度が高かったり、擁壁を築造する現場までの実が狭くて工事車両の出入りが難しい場所であったりする場合、擁壁工事の費用がさらに高額になるケースもあります。

そのため擁壁工事を行う場所によっては数百万円もの出費になることもあるため、非常に負担が大きいです。

ただし、擁壁工事を行う場合、各自治体から助成金がもらえる場合が多いです。

例えば、東京都だと工事費用の1/2(上限500万円)までの助成金を受け取れます。

自治体によって助成金制度の内容は異なるため、事前に確認しておきましょう。

まとめ

擁壁には高さ制限が設けられています。

高低差のある土地の購入を検討する場合、建築基準法だけでなくがけ条例や宅地造成等規制法などの様々な法律や条例が関わってくるため、購入前にどのような許可や申請が必要になるかの確認が必要です。

「どのように確認すれば良いかわからない」という方は、土地を紹介してくれる不動産会社

家を建築予定の工務店・ハウスメーカーに相談して調べてもらうという方法もあります。

家づくりに関しては専門家に相談することで、失敗・後悔の少ない選択ができるでしょう。

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この記事の監修者

株式会社尚建 代表取締役 村下 尚志

京都を中心に土木工事から土地の有効活用まで幅広く、お客様の立場で考え、最適な工事のご提案をしている。 安全性と美観を兼ね備えた工事を行い、スピーディーにご要望に応じることをモットーとしています。

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