このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、家の駐車場にも防水工事は必要です。
どれほど頑丈に作られた床でも、日々の車の出し入れや雨風の影響による劣化症状は避けられません。
駐車場を長く安全に使うためにも、適切な防水工事は不可欠と言えるでしょう。
この記事では、駐車場に必要な防水工事の概要から、防水の種類、防水工事業者選びのポイント・注意点まで詳しく解説します。
ご自宅の駐車場に防水工事の施工を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
駐車場の防水工事とは
駐車場の防水工事とは、主に屋外駐車場の床材の表面に、専用の防水加工を施す工事のことです。
一般的な住宅駐車場の床素材には、「土間コンクリート」が多く使用される傾向にあります。
土間コンクリートはリーズナブルな施工費ながら滑りにくく安全性が高い反面、タイヤ痕や汚れが目立ちやすく、経年劣化が生じやすい点がデメリットです。
また、駐車場の床は屋根などと違って平坦なため、雨水が溜まりやすいことも劣化を早める要因となります。
そこで、防水加工を施し、できる限り床寿命を伸ばす必要があると言えるのです。
屋外駐車場の起きやすい劣化症状
屋外駐車場で置きやすい劣化症状として、主に以下の2つが挙げられます。
- 床のひび割れ
- 水溜まり
屋外駐車場は、雨風や紫外線、気温の変化といった自然の影響にさらされています。
そのため、経年劣化により施工当初に施した防水加工(防水層)が剥がれてしまうことも少なくありません。
また、地震によって下地である床材にひびが入るケースもあります。
ひび割れを放置していると、ひびの部分から雑草が生え、さらに劣化を進行させてしまうおそれもあるでしょう。
次に、水溜まりは主に駐車場の排水機能の低下によってもたらされる劣化症状です。
ひび割れと連動して生じる場合も多く、駐車場に雨水などが滞留することで、防水層の劣化を早めます。
ひび割れ・水溜まり、いずれの症状も放置して改善することはありません。
いざ補修しようと思った時には大規模な工事が必要になったり、入出庫の際に大切な車が傷ついてしまったりする可能性があります。
ご自宅の駐車場の防水機能に不安がある場合は、なるべく早い段階で防水工事の施工を検討するのがおすすめです。
駐車場防水の種類
ここでは、駐車場防水に利用される5種類の工法を詳しく解説します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを押さえた上で、ご自宅の駐車場に適した防水工法を選びましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗布する工法。 伸縮率が高い防水膜を形成するため、複雑な形状の下地にも対応可能。 | 継ぎ目のないシームレスな仕上がりになる。 地震などによるひび割れを起こしにくい。 施工コストが安価。 | 常温で乾燥するため、冬季など気温の低い時期は硬化に時間がかかる。 |
FRP防水 | FRP(繊維強化プラスチック)とポリエステル樹脂を重ねて塗装する工法。曲げやひび割れに強く、耐久性が高い。 | 強度が高く耐久性に優れる。 晴天時であれば1〜2日程度の短期間で施工可能。 | ウレタン防水工法に比べて施工費用が高め。 柔軟性がやや低く、湿度の影響を受けやすいため、下地の素材や状態によっては適さない。 |
超速硬化型スプレーライニング | ウレタン樹脂をスプレーで吹き付け、瞬時に硬化させる工法。 吹き付けから約3分で硬化するため、工期が短く済む。 | シームレスで伸縮率の高いウレタン防水と同様のメリットを活かしつつ短期施工が可能。 硬化速度が速いため時季を選ばない。 | 専用機材の導入と、飛散養生に手間がかかることから施工費用が高くなりやすい。 |
アスファルト防水 | 防水シートを熱で溶かしたアスファルトで貼り付ける工法。 防水工法の中でも歴史が長く、信頼性も高い。 | 耐久性に優れ、施工後のメンテナンスの手間がかからない。 広い場所での施工に適している。 | 施工時に独特の臭気が発生する。 溶融窯を使用するため、施工場所が限られる。 |
シート防水 | 塩化ビニールやゴム系のシートを貼り付けて防水層を形成する工法。 液剤を使用しないため硬化を待つ必要がない。 | 低コストで施工が比較的容易。 品質にムラが出にくく、時季を選ばない。 | シートの継ぎ目から雨水が侵入するリスクがある。 複雑な形状の下地には適さない場合がある。 機械を使った施工では騒音が出る。 |
ウレタン防水
ウレタン防水は、防水機能を備えた液剤塗料を下地に塗布する「塗膜防水」の一種です。
防水工事の中でもポピュラーな工法で、施工する床素材(下地)を選ず、DIYでの施工も可能です。
継ぎ目のない美しい仕上がりが特徴で、持ち前の伸縮率の高さから地震などの地殻変動の影響を受けにくい点がメリットと言えます。
一方、常温でないと乾燥しないため、気温の低い日は硬化に時間がかかる点がデメリットです。
また、塗りムラが出やすいため、塗装者の技量が十分でないと劣化が早まる点にも注意が必要です。
FRP防水
FRP防水もウレタン防水と同じ「塗膜防水」の一種ですが、大きな違いは防水塗料にFRP(繊維強化プラスチック)を重ねて塗装する点です。
そのため、ウレタン防水同様シームレスで弾性のある仕上がりを保ちつつ、より高強度で曲げやひび割れにも強い点が魅力と言えます。
デメリットとしては、下地の素材や状態によっては施工が難しい点と、コストが高くなりやすい点が挙げられます。
また、火気厳禁のため、施工環境および施工時の装備を整えなければならない点にも留意しましょう。
超速硬化型スプレーライニング
超速硬化型スプレーライニングは、ウレタン樹脂などで作られた防水塗料をスプレーで吹き付ける工法です。
従来のウレタン防水と異なり、専用のスプレー機械で吹き付けることで約3分程度での瞬時硬化が可能なため、施工時季に左右されない点がメリットです。
工期を長く取れない、または緊急時にも適した工法と言えるでしょう。
一方、機材を使用することから一般的な塗膜防水に比べてコストが高くなりやすい点がデメリットとして挙げられます。
また、スプレーの飛散養生に手間がかかるため、駐車場の立地によっては適さない場合もあるでしょう。
アスファルト防水
アスファルト防水は、数ある防水工法の中で最も歴史の長い工法です。
基本的には、熱したアスファルトを防水シートの「のり」兼「補強材」として下地にを張り付けていく方式が取れらます。
特に溶融窯を使用する「熱工法」は他の工法から抜きん出た耐久性が魅力で、施工後のメンテナンスの手間がかからない点もメリットです。
火気を使用する大規模な工事であることから、主に商業施設や屋上などでの防水工事に利用される傾向があります。
そのため、一般住宅の駐車場にはあまり適さない点がデメリットと言えるでしょう。
シート防水
シート防水は、あらかじめ防水加工を施された塩化ビニールもしくは合成ゴム系の専用シートを下地に張り付けていく工法です。
ウレタン防水などのように液剤を使用しないため、硬化を待つ時間や塗りムラの心配もなく、均一な仕上がりになりやすい点がメリットです。
低コストで安定した品質を求める方におすすめの工法と言えます。
一方、シート状のため継ぎ目から雨水が入り込むリスクがある点と、塗膜防水に比べ柔軟性に欠け、施工場所の形状に左右されやすい点に注意が必要です。
また、シート防水の中でも接着剤を使わない「機械的固定工法」では大きな音が出るため、騒音対策にも留意しましょう。
防水工事業者を選ぶポイント
「家の駐車場に防水工事をしたい」と考えたら、まずは施工を依頼する防水工事業者を選びましょう。
工事業者を選ぶポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
- 相見積もりを取る
- 実績をチェックする
- 職人や業者の資格を確認する
後悔しない防水工事を行うためにも、各ポイントに沿って業者を決めていきましょう。
相見積もりを取る
駐車場の防水工事業者を選ぶ際は、必ず複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。
防水工事の施工費用は、一律で決まっているものではありません。
工法・地域・シーズン・業者など複数の要素によって変動するケースがほとんどです。
そのため、同じウレタン防水を依頼する場合でもA社とB社とでは価格に大きく差があた、ということも少なくないのです。
個別に工事業者へ連絡するのが煩わしい場合は、インターネットの工事業者一括見積りサービスを利用するのがよいでしょう。
相見積もりを取ることで、工事費用の相場が把握できるとともに、依頼したい業者が他社より高い費用設定の場合も、価格交渉できる余地が生まれます。
このように、相見積もりの取得は、駐車場の防水工事を依頼するにあたって重要なファーストステップと言えるでしょう。
実績をチェックする
工事業者の実績も重要な検討材料の一つです。
「工事費用の安さで選んだら、実は施工ミスなどのトラブルが多い業者だった」といった事例もあります。
駐車場の防水工事を依頼する場合は、相見積もりを取るタイミングで必ず各社の施工実績を確認するようにしましょう。
なお、実績を調べる方法として活用したいのは、防水工事業者の公式ホームページです。
ほとんどの業者が過去の施工事例や実績を掲載しているため、必ず確認しましょう。
しかし、中には「施工実績○万件」と謳いながら実例が不明だったり、信憑性に欠ける内容を記載したりする悪質な業者も存在します。
実際の施工現場や作業風景の写真を多く掲載しているかを一つの基準にするとよいでしょう。
職人や業者の資格を確認する
工事業者、および業者に在籍する職人の資格についても可能な限り確認しましょう。
防水工事の施工だけなら、基本的に資格は必要ありません。
しかし、資格を有していれば十分な技能の持ち主であることが証明できます。
防水工事に関連する資格としては、以下のようなものがあります。
資格名 | 主な業務・工事内容 |
防水施工技能士(1級・2級) | ウレタン防水、FRP防水、アスファルト防水など |
建築施工管理技士(1級) | 防水工事を含む建築現場の管理 |
職長・安全衛生責任者 | 防水工事の現場監督 |
建設業許可 | 請負代金が500万円以上の大規模な防水工事 |
防水工事業者を選ぶ際は、上記のような資格の有無なども確認しながら決めるのがベターと言えます。
特に「建設業許可」は大規模な工事を請け負える能力があると認められた業者のみ取得できる資格のため、業者の実力と信頼性を測る一つの指標になるでしょう。
駐車場防水工事を進める際の注意点
駐車場の防水工事の施工が決まったら、以下の2点に注意して工事を進めていきましょう。
- 補助金を確認する
- 工事前に近隣に挨拶をしておく
順番に解説します。
補助金を確認する
2025年2月時点で、「個人住宅の駐車場の防水工事」単体に利用できる補助金や助成金の制度はありません。
しかし、住宅リフォーム全般を対象とした補助制度の中で、条件を満たした場合に防水工事が補助対象となる可能性があります。
補助金の適用要件や金額は自治体によって大きく異なるため、個別に確認しましょう。
『地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト』では、各地方公共団体ごとの住宅リフォーム関連の補助金制度について検索できます。
お住まいの地域で該当の支援制度が見つかった場合は、市役所などの自治体に直接問い合わせるとよいでしょう。
工事前に近隣に挨拶をしておく
防水工事の施工日が決まったら、着工前日までに近隣に挨拶を済ませることが大切です。
防水塗料は独特の臭気を発するものが多いため、事前告知を怠ることで異臭騒ぎに発展する可能性があります。
また、シート防水など、液剤や溶剤を使わない工法でも専用器具の使用によって騒音が生じます。
着工後の予期せぬトラブルを避けるためにも、工事日と工事内容については近隣住民に周知しておきましょう。
駐車場防水工事に関するよくある質問
最後に、駐車場防水工事に関するよくある質問にお答えします。
駐車場防水工事は必要?
一般住宅の場合でも、駐車場の防水工事は必要と言えます。
特に床素材が土間コンクリート製の場合、経年劣化によるひび割れなどの症状が発生しやすく、ひびから侵入した雨水などがさらに劣化を早めるおそれがあります。
大切な車を守り、安全な入出庫をするためにも、駐車場の防水工事は行うようにしましょう。
駐車場防水工事はDIYでできる?
ウレタン防水など一部の塗膜防水であればDIYは可能です。
ただし、DIYによる塗装は塗りムラが生じやすく、すぐに剥離してしまうケースも少なくありません。
さらに、材料・器具の調達や補修費用で結果的に工事するよりも割高になる可能性もあります。
「できるだけ費用を抑えたい」ということであれば、はじめから防水工事の業者に依頼する方がよいと言えるでしょう。
まとめ
屋外駐車場は、日々の入出庫や雨風・紫外線などの影響を受け、少しずつ劣化していくものです。
特にポピュラーな土間コンクリート製の床は、ひび割れや水溜まりができることで思わぬトラブルに発展する可能性があります。
このようなトラブルを未然に防ぐのが駐車場の防水工事です。
ウレタン樹脂やFRPなどの滑らかな防水塗料を重ねることで、タイヤの滑りを良くすると共に、排水機能を向上させ、傷や汚れからもガードします。
駐車場防水には様々な工法・施工業者が存在するため、それぞれの特色を確認し、自分に合った選択をすることが大切です。
大切な愛車を長く、安全に保管するためにも、駐車場の防水工事は慎重に検討しましょう。